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東京新聞(中日新聞東京本社)社会部デスクの小川慎一です。原発取材班にいました。取り調べは全面可視化、検察官は証拠リストを開示すべき。金に余裕があるならクール寄付。"All sorrows can be borne if you put them into a story or tell a story about them." Isak Dinesen(どんな悲しみも、それを物語にするか、それについて物語るならば、耐えられる)

「このほど」は使わない

学校給食センター着工 湖南、稼働で6千人分配送へ(1月5日京都新聞)

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140105000011

 滋賀県湖南市の新しい学校給食センターの工事がこのほど、同市夏見で始まった。市役所東庁舎(中央1丁目)に隣接している現施設の老朽化に伴って実施した。新施設が稼働すると、児童生徒約6千人の給食が配送される。

 「このほど」とは、いつのことだろうか。辞書を引くと、「先日」や「最近」を指すとある。日付を書けば良いのだが、おそらく工事開始日はだいぶ前で、記事の掲載が遅れたため「このほど」と直したのではないかと思う。だが、「このほど」という表現は格好悪くないだろうか。(まあ趣味の問題だが…) 格好悪くないようにするにはどうしたらよいか。次のように直してみた。

 滋賀県湖南市の新しい学校給食センターの建設工事が、同市夏見で進んでいる。市役所東庁舎(中央1丁目)に隣接している現施設の老朽化に伴って実施した。新施設が稼働すると、児童生徒約6千人の給食が配送される。

 建設工事が「進んでいる」とすれば、「このほど」を使わなくて済む。日付ものの原稿の掲載が遅れる場合は、ほんのちょっと工夫すれば良いのではと思う*1

 この記事の最終段落には、ニュースになりそうなことがさらっと書いてある(下線部)。

 市教委によると、工事は3月末の完成を目指しているが、資材調達などで遅れることも予想しているという。総事業費は約16億円。

  もしや、資材調達の見通しが立っていないのだろうか?東日本大震災の復興工事の影響で、被災地では資材不足になっているそうだが、それと関係あるのだろうか?このあたりを取材すれば、一本書けるかもしれない。

 ついでに第2段落は、表現で気になるところがある。

現在、同市では市内13小中学校のうち、旧石部町の3小中学校が自校調理方式、旧甲西町の10小中学校がセンター調理方式で給食を調理している。新施設ができれば、自校調理の施設が新しい石部中を除く12小中学校がセンターからの配送になる。

  「●●調理方式」で「給食を調理」と、表現がくどい。次のようにすればいい。

現在、同市では市内13小中学校のうち、旧石部町の3小中学校が自校で、旧甲西町の10小中学校がセンターで給食を調理している。新施設ができれば、自校調理の施設が新しい石部中を除く12小中学校がセンターからの配送になる。

  ここまで読んで、第1段落にある「現施設」が老朽化で使われなくなるようだ、ということが分かる。そこで、第1段落を次のようにしてみた。

 滋賀県湖南市の新しい学校給食センターの建設工事が、同市夏見で進んでいる。稼働後は児童生徒約6千人分の給食を調理、配送する。市役所東庁舎(中央1丁目)に隣接する現施設は老朽化のため(廃止?)する。

 

*1:こう書いたものの、見出しが「着工」なので「進んでいる」とするのは良くないかも