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東京新聞(中日新聞東京本社)社会部デスクの小川慎一です。原発取材班にいました。取り調べは全面可視化、検察官は証拠リストを開示すべき。金に余裕があるならクール寄付。"All sorrows can be borne if you put them into a story or tell a story about them." Isak Dinesen(どんな悲しみも、それを物語にするか、それについて物語るならば、耐えられる)

映画祭をやるなら、上映作品名を書け

 本日2本目は、中日新聞(愛知)の記事を取り上げる。この原稿への不満は「映画祭をやるなら、上映作品名を書け」ということに尽きる。

空き家利用し11日に手作り映画祭 豊田・稲武の夫妻企画:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web)

リードは以下の通り。

 空き家となった旧稲武商工会館豊田市稲武町タヒラ)を、「一日映画館」として利用した住民手作りの映画祭が、十一日に開かれる。同町でカフェ「ヒトトキ」を営む家具製作技能士の松島周平さん(40)、建築士の知美さん(37)夫妻が中心となって運営。過疎化が進む稲武の観光振興にもつなげたい考えだ。

 「空き家」とは以前は人が住んでいたが、今は住んでいない家のことをいうように思う。なので旧商工会館を「空き家」と呼ぶのが適切なのだろうか。「使われなくなった」とかで良いのでは。見出しに「空き家」と使われているけど、誰も疑問に思わなかったのだろうか。

 それと「過疎化が進む稲武の観光振興にもつなげたい考えだ」とあるが、一日映画館で観光振興にはつながらないだろう。これを書くならば、「今後定期的に映画上映をしたり、イベントをしたりして」みたいな下りを入れた方が良い。

 そして2、3段落目。

 二人は大の映画好きで、映画祭の構想を十年前から練っていた。昨年十月に商工会が豊田市役所足助支所に移転したのをきっかけに、使われなくなった建物で実行した。

 当日は、大会議室だった部屋を会場に、もともと備え付けられていた横三メートル、縱二・四メートルのスクリーンを利用。暮らしや移住、食をテーマにした一時間前後の映画を、三作品上映する。

 2段落目の「実行した」。流れからすると、「利用を考えた」ぐらいではないか。

 3段落目は、映画祭をやるのに上映作品名を明記していないのは、読者に不親切極まりない。三作品ぐらいなら、書いてもらわないと困る。

 そして5段落目。

 建物は木造三階建てで一九五五年に建てられた。二階の窓にはツタがかかり、レトロな雰囲気と相まって情緒を感じさせる。立地するのは、かつて長野に向かう車で活気にあふれた町の目抜き通りだったが、中央自動車道の開通や、通りと並行する国道153号の影響で交通量が減った。

 「建物は木造三階建てで〜年に建てられた」。どんだけ「建」という言葉を使うんだ。「旧商工会館は木造三階建て、一九五五年に完成した」ぐらいで良いのでは。「情緒を感じさせる」より「レトロな雰囲気を漂わせている」の方がいいかなと。「立地するのは」以降は必要な情報なのか悩ましい。自分がデスクなら削る。全体的に言葉がこなれていないように感じる記事であった。