読むのはもう何度目かなのだが、ページを開くたびに刺激的である。「デジタル・ジャーナリズムは稼げるか」。帯の「ジャーナリストよ、起業家たれ!」という言葉を反芻する日々だ。ジャーナリズムと人々との関係を変えるべきだ、と著者は言う。205ページにポイントがまとめてある。
・人々を大勢まとめて「マス」ととらえることをやめる。一人ひとりについて理解し、一人ひとりと関わり、一人ひとりに合ったサービスを提供していく。
・ジャーナリズムの目標を変える。それに合わせ、メディア企業のあり方、文化も変える。コンテンツを作って売る、というのではなく、サービスを提供する、という発想をする。顧客のニーズを満たし、顧客の目標達成を手助けする。
・ジャーナリズムをより有用で大規模な「プラットフォーム」に変える。まちゃ、そのために必要なツールを使う。あるいは、ツールを顧客に提供する。適切なツールが存在しなければ自ら作る。
・一般の人たちや成長するニュース・エコシステム、新たなニュース・ネットワークとも協調する。
・従来は世界で起きていることを物語にする人だったジャーナリストの役割をとらえ直す。イベントの主催者、グループのまとめ役、何かの主唱者、パートナー、協力者、教育者などの役割が考えられる。
さらに著者は言う。「重要なことは、ニュースの内容だけでなく、提供する際の形式にもそれ自体、価値があるということだ」(207ページ)。