一文が長いと読みにくい。だから短くしよう。岐阜新聞「親子、豊かな自然体感 郡上市で『清流の国ぎふツアー』」の記事のリードを見てみる*1。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140112/201401120941_21740.shtml
子どもたちに県内の豊かな自然を肌で感じてもらう県の「清流の国ぎふ 親子『森・川・海』体験ツアー」が11日、郡上市白鳥町で始まり、県内外の都市部で暮らす親子21人が雪山散策などを通じ、野生動物について学んだ。
リードが長々と1文になっている。区切ろう。簡単だ。もうひとつ注意したいことがある。「など」の使用だ。「雪山散策など」。散策以外のこともしたんだろうが、別になくてもいい。リードに書いたからには、このイベントのメインだったと筆者が考えたのだろう。ほかにしたことは、本文に書けば良い。ということで、直してみた。
子どもたちに県内の豊かな自然を肌で感じてもらう県の「清流の国ぎふ 親子『森・川・海』体験ツアー」が11日、郡上市白鳥町で始まった。県内外の都市部で暮らす親子21人が雪山散策を通じ、野生動物について学んだ。
第2段落も気になる。
環境保全意識を育んでもらおうと、県自然環境保全課が昨年度から実施。本年度は県内各地で環境ウオークや生き物探しなど計16回を実施し、今回が最終回となった。
「環境」が多い。「保全」「実施」もなんとかしたい。「環境ウオーク」って何だろうか。こういうのは具体的に書きたい。例えば、こんな感じ。
<直し版> 体験ツアーは、県自然環境保全課が昨年度から始めた。本年度は県内各地で山の散策や生き物探しなど計16回を実施し、今回が最終回だった。
第2段落にはイベントの経緯や説明が入ることが多いが、こういうのは一番最後の段落でもいい。2段落目にイベントでやったことを書く。全文を直すと、こうなる。40字ほど短くした。
<直し全文> 子どもたちに県内の豊かな自然を肌で感じてもらう県の「清流の国ぎふ 親子『森・川・海』体験ツアー」が11日、郡上市白鳥町で始まった。県内外の都市部で暮らす親子21人が雪山散策を通じ、野生動物について学んだ。
12日までの1泊2日でテーマは「野生動物とのかかわり」。郡上市で「猪鹿庁」と銘打った猟師活動やジビエ(野生鳥獣肉)料理を考案しているNPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」の2人が案内し、参加者は雪山へ。道なき道を分け入っていくと、シカやイノシシの足跡やふんが見つかり、子どもたちは興味深そうに観察した。
森では捕獲に使うくくりわなを仕掛けたり、宿泊先のペンション「リトルパイン」ではシシ肉のすき焼きに舌鼓を打ったりした。
体験ツアーは、県自然環境保全課が昨年度から始めた。本年度は県内各地で山の散策や生き物探しなど計16回を実施し、今回が最終回だった。
「など」をできるだけ削った。新聞の編集作業では、記事を短くする際に後ろの段落をそのまま削る場合がある。だから、重要なことを前に書こう。逆三角形の構成を忘れないように。
*今回のテーマと関係ないが、検察、裁判取材のためには古いが次の本は読んでおいた方がいい。日本の司法が抱える問題が長年変わっていないことが分かる。